You'd Be So Nice To Come Home To


ここでは、この曲の title を取り上げています。
この文言は歌詞にもあります。

【要点】 最後の'To'は副詞です。前置詞ではありません。その後に何かが省略されているわけではないのです。
タイトルは「あなたが居るべきこの家へ帰ってきてくれると、あなたはとても素敵な人なんだが」という意味です。
これを簡潔で、かつ、こなれた文にすると邦題に使われている「帰ってきてくれたら嬉しいわ」のようになります。

'You'd Be'は、文法の教科書によく出てくる仮定法過去、すなわち現状と異なる仮定で、疑問がありません。
因みに、過去の事実とは異なる仮定の場合には、仮定法過去完了を用います。
問題は最後の'
To'です。
以前、この'To'はなぜ要るのだろうかと思っていました。

web(Websterの略ではありません)で調べましたが、「後ろにMe が省略されている」とか「You が省略」とか議論されていました。
これらは'To'が前置詞であることを前提にしています。
いずれにしても、なぜ'To'を残したまま'Me'または'You'を省略したのでしょうか、Mr.Porter。

「Me省略」はさておき、「You省略」では「私が帰ると、あなたはとても素敵な人だ」とでも言うのでしょうか。
そうではなくて'
Nice'を'Glad'のような他の語に置き替えて解釈しているのではないかと思います。
'You are nice'は、あなた自身が素敵な人であって、あなたが何事かについて嬉しく思うのではありません。

'To'など辞書を引く気になりにくいのですが、辞書を見ました。
ありました!
副詞が。最後のところに。しかもぴったりのが。
「あるべき所に」という意味です。
「put the horse to 馬をつなぐ」「draw the curtains to カーテンを引く」などの例文が示されています。

帰ってきて下さい、君(あなた)の居るべき家へ。
You が居てこそまっとうなこのHome、と訴えていると知ると切なくなります。

最後の'To'は不要でなく、'To'の後に何かが省略されている、ということでもなかったのです。
英語の達者な人には、当たり前のことを何を今更くどくどと、と言われるかもしれませんが。

追記
webでは「帰ってくれると嬉しいわ」としたのも見受けますが、これでは長っ尻の来客への不快感のようにもとれるので、避けたほうがよいでしょう。
                                              
久岡t